国際教師力研究会 Tokkatsu プロジェクト

出版物・リソース等

出版物

Tokkatsu: The Japanese Educational Model of Holistic Education, edited by Ryoko Tsuneyoshi, Hiroshi Sugita, Kanako N. Kusanagi, & Fumiko Takahashi. Singapore: World Scientific.

 

海外で「日本型」全人的な教育tokkatsuモデルに対する関心が高まる一方、これまで国際的にそれを扱う体系的な書はなく、日本の全人的な教育枠組みが何であるのかに対して各国で混乱が見られていた。様々な教科と教科以外の学習活動とを結び付けたり、特定の時間ではなく、学校の一日や一年の色々なところで展開されたり、掃除でも、教室がきれいか否か(だけ)ではなく、話し合いのプロセスが重視されるなど、日本の全人的な教育枠組みは外から見ただけでは分かりにくく、混乱を招きやすい面がある。こうした海外におけるニーズに対応する形で本書は、様々な分野の関係者が貢献する形でまとめられた(科学研究費基盤ANo.15H01987A 助成プロジェクト)。

 

目次は以下の出版社のURLから入手可能https://www.worldscientific.com/worldscibooks/10.1142/10781

Globalization and Japanese “Exceptionalism” in Education: Insider’s Views into a Changing System, edited by Ryoko Tsuneyoshi. London and New York: Routledge.

 

グローバリゼーションの中にあって、各国の教育政策者、教育関係者はかつてないほど諸外国の教育モデルを参照するようになっている。国別ランキングが隆盛を迎えた今日、OECDが実施するPISAや国際的な大学評価等でランキングにおいて上位の国に視察団を送り、教育モデルを参照することは珍しくない。高等教育においては、長らくアメリカをはじめとする西欧の大学が高く評価され、世界的なモデルとなってきた。初等・中等教育 (および幼児教育) においても、国際的に広く普及しているモデルの多くは、西欧諸国の教育モデルである。そのため、国際的には、主として西欧諸国の教育モデルを「標準」とみる傾向がある。たとえば、「21世紀型教育」として、いわゆる「学力」や狭義の「勉強」を越えた対人関係能力等の育成を重要視している国は数多い。しかし、国際的に広く普及・参照される場合には、西欧発の「社会性と情動の学習 (social and emotional learning)」がモデル化され、「標準」視されている。日本は、後発的な発展を遂げた国として、高等教育段階において西欧モデルを受容してきた一方で、初等・中等教育 (および幼児教育) 段階では、西欧モデルとは異なる発展を許されてきた歴史がある。日本の教育モデルは、西欧諸国の教育モデルと対比して、ある部分では西欧モデルよりも「先進的」なモデルとして捉えられ (例 授業研究)、ある部分では「後進性」が問題視され、またある部分については国際的に知られていないという状況にある。このように、西欧の教育モデルが「標準」視され、日本の教育モデルが「例外」と捉えられがちな状況を踏まえた上で、本書は、国際的にみた日本の教育の「例外」性は何か、どのような点において先進性があり、どのような点において課題があるのか、について他のアジア諸国も視野に入れながら問題提起している。日本の教育に関する英文図書は、諸外国の研究者の視点によるものが多いが、本書はアジアの研究者 (内側) から問い直す視点 (insider’s view) を一つの特徴としている。また、「例外」性ゆえに持つ後進性 (グローバリゼーションへの対応や多文化共生など) と、先進性を合わせて示そうとしたところに第二の特徴がある。

 本書は、科研費基盤 (A) (代表:恒吉僚子教授、No.15H01987) による研究支援を受けたものである。研究プロジェクトについては、東京大学大学院教育学研究科附属学校教育高度化・効果検証センターのホームページを参照。http://www.schoolexcellence.p.u-tokyo.ac.jp/en/jpmodel/ (UTokyoBiblioPlaza, https://www.u-tokyo.ac.jp/biblioplaza/ja/C_00131.htmlより抜粋)。

 

 

Tokkatsuミニ出版リスト

(参照)

Tsuneyoshi, R. (2001). The Japanese Model of Schooling: Comparisons With the U.S. New York and London:  Routledge. 

Lewis, C. (1995). Educating Hearts and Minds: Reflections on Japanese Preschool and Elementary Education. Yale: Yale University Press.

 

 

2012 

  • 座談会1 特別活動に求められる不易と流行●宮川八岐×松永昌幸×恒吉僚子×杉田洋『初等教育資料』3月号。
  • 恒吉僚子.「国際的に見た日本の学校行事の意義」『道徳と特別活動』(特集 学校行事)Vol.2、文渓堂、4-7ページ。

2013 

  •  恒吉僚子.「特別活動が今後重視すべきこと」(日本型の教育としての特別活動、座談会)『初等教育資料』4月号、No.898:60-65.

2015 

  • Tsuneyoshi, R. (2015). "Japanese Model of Classroom Management." Pp. 443-444 in The SAGE Encyclopedia of Classroom Management, edited by W. George Scarlett. Thousand Oaks, Cal. : Sage.

2016 

  • 「国際モデルとしての『日本型教育』を考える」巻頭言 子供と教育」『初等教育資料』8月号、IV-V(文責:安部恭子)。
  •  恒吉僚子.「世界の小学校教育と日本型の教育の可能性」総論(特集 日本型教育の可能性と学校行事の役割)『道徳と特別活動』8、4-7ページ。
  • Tsuneyoshi, R.,  Kusanagi, K. & Takahashi, F. (2016). “Cleaning as Part of TOKKATSUWorking Paper Series in the 21st Century International Educational Models Project, No.6., 『東京大学大学院教育学研究科附属学校教育高度化センター研究紀要』 Vol.2, pp.138-149.

2017

  • 恒吉僚子.「Tokkatsuの国際化」『日本特別活動学会紀要』25号、19-21。

2018

  • 恒吉僚子.「教育モデルが国境を越える時代を俯瞰するー比較教育学の原点にもどる」『比較教育学研究』56号、186-194、大会報告。
  • 杉田洋. (2018). 「エジプトでの TOKKATSU の現状と可能性」. 『日本特別活動学会紀要』26, 1-7。

2019

  上記、Tokkatsuの英語図書、出版。

 

 

 

DVD・教材

 左から

 2015. Tsuneyoshi, R. , Takahashi, F. and Others. Japanese Whole Child Education: Learning from Cleaning and Lunch.  Tokkatsu Series 1. DVD.日本型21世紀対応教育の国際モデル化に関する国際比較研究―多元的モデルの構築 (基盤A、代表:恒吉 

  僚子)、学校教育高度化・効果検証センター。

2017. Tsuneyoshi, R. , Takahashi, F. and Others. Myoko Friendship School: Linking Tokkatsu with Social Education,  

 Tokkatsu Series 2 DVD.日本型21世紀対応教育の国際モデル化に関する国際比較研究―多元的モデルの構築 (基盤A)、同上。

2018 Essay Education for Life. Tokkatsu Series 3. DVD.日本型21世紀対応教育の国際モデル化に関する国際比較研究―多元的モ

 デルの構築基盤A)、同上

教師用Tokkatsuガイドブック「The World of TOKKATSU」   (英語、ベトナム語、マレー語、インドネシア語、アラビア語、中国語)

The World of Tokkatsu: The Japanese Approach to Whole Child Education,

A Guidebook for Teachers. Tsuneyoshi, Ryoko.  2012.  March.

概要:本ガイドブックは、町田市の小教研特別活動部が開発した特別活動の実践が分かるハンドブックを中心に構成されている。協力者:南部和彦(当時、南成瀬小学校の校長、現在、文京学院大学特任教授)、元全国小学校学校行事研究会会長

 

 

6言語、英語、ベトナム語、マレー語、インドネシア語、アラビア語と中国語版がダウンロードできるようになっています。

 

 

(アーカイブ)過去のtokkatsu国際発信関連のシンポジウム

2013年6月29日開催

「グローバル社会の教育課題」研究会

「国際的に見た日本型の全人的教育ー特別活動の意味を考えるー」(基盤C)

2016年8月26日開催

シンガポールHEAD 財団主催 "Japanese and Singapore Education Models, Education Transfer & Comparative Policy Learning" (恒吉僚子教授招待講演、高橋史子学校教育高度化効果検証センター助教、草彅加奈子センター特任研究員、岩渕和祥大学院博士課程、登壇)

2017年9月18日開催

韓国高麗大学校東アジア人文教育研究会主催「アジアからの教育発信を考えるー日本のtokkatsuモデルを例にしてー」(恒吉僚子教授招待講演

 

 

2018年10月19・20日開催

インドネシア教育大学・Salib Suci財団共催 "Intertwining Teachers' and Students' Well-Being: Learning to Grow Together" (恒吉僚子教授、南部和彦教授特任教授、招待講演 )

2019年10月30日、インドネシア、テルナテ島、Khairun 大学、教育と学習の国際会議 International Conference on Teaching and Learning(恒吉僚子教授、基調講演)。tokkatsuを紹介。

2018年11月29日開催

台湾国家教育研究院主催"21st Century Talent Cultivation: Autonomy, Interdisciplinary, and Innovation in the Educational System” (International Forum)(恒吉僚子教授招待講演

2019年6月24-29日

インドネシア訪問団が来日し、目黒区立原町小学校や都立小石川中等教育学校などを見学。東京大学では全国小学校学校行事研究会主催、学校教育高度化・効果検証センター後援で、本講演会を開催しました。恒吉教授によるスピーチ「世界から見たtokkatsuの魅力」の後、インドネシア訪問団の一人、インドネシア教育大講師のタタン先生がインドネシアで実践されている日本のtokkatsuについて紹介され、現地での関心の高まりについてお話されました。また、同行された3名の先生方からは日本の小中高校を訪問して印象に残ったことなどお話されました。出席者と意見交換会もありました。

2017年24日開催

「教育モデルが国境を越える時代を俯瞰するー比較教育学の原点にもどるー」(日本比較教育学会・東京大学教育学研究科附属学校教育高度化・効果検証センター共催、基盤A)

 

 

2018年9月6日・7日

Singapore International School of Bangkokにて。6日”Nurturing the Whole Child and Promoting Holistic Education through Tokkatsu” 7日 ”Enhancing Teaching & Learning, as well as Holistic Education, through Lesson Study & Tokkatsu”” (恒吉僚子教授招待講演

2019年10月1-4日開催

リーダーシップ&マネジメント教育研修を行うInstitute Aminuddin Baki主催(International Conference on Educational Leadership and Management)。Tokkatsuについて基調講演、及び教育、行政関係者にワークショップ(恒吉僚子教授)


 

(注)上記で基盤C基盤Aとあるのはそれぞれ、「国際モデルとしての『日本型』人格形成教育の考察国際比較を通して」(代表:恒吉僚子、科学研究費基盤C、平成24-26年度、国際発信用ホームページtokkatsuの土台を作成した)、「日本型21世紀対応教育の国際モデルに関する国際比較研究―多元的モデルの構築」(代表:恒吉僚子、科学研究費基盤A15H01987、平成27-30年度)を指す。

 

 

 

国内の動き

日本国内においても、日本特別活動学会、希望の会、エジプトでのtokkatsu plusの導入に尽力されてきた國學院大學の杉田洋先生等が日本の教員に向けて国際的なtokkatsuの動向を発信されています。

(左記:2017年8月26日 日本特別活動学会での特別活動の海外展開をめぐるシンポジウム、「グローバルスタンダードな特別活動の創造―国内外発信の意義と方法」司会:京免徹雄(筑波大学)、添田晴雄(大阪市立大学)指定討論者:長沼豊(学習院大学)登壇者:キャサリン・ルイス(ミルズ大学)、恒吉僚子(東京大学)、杉田洋(國學院大學)、清水弘美(八王子市立浅川小学校校長)、清水克博(愛知教育大学)。  

2019年9月15日においても日本特別活動学会第8回沖縄大会 シンポジウム「未来の創り手を育てる特別活動」(特別活動の国際化、海外から見えてくる特別活動の意義)杉田洋、山田真紀、恒吉僚子、大村佳史(JICAエジプト事務所長)、田中伸一郎(JICA国際協力専門員)、有村久春、添田晴雄。

 

関係するURL

国際発信サイト: http://www.p.u-tokyo.ac.jp/~tsunelab/tokkatsu/

 

東京大学教育学研究科附属学校教育高度化効果検証センター・日本型21世紀対応教育の国際モデル化に関する国際比較研究プロジェクト:https://www.schoolexcellence.p.u-tokyo.ac.jp/projects-list/jpmodel/(基盤A15H01987)